医療費を支払ったときに受けられる控除(医療費控除)

 

 医療費を支払ったときに受けられる「医療費控除」については、従来の医療費控除に加え、平成29年分所得税(住民税は平成30年度)から医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)が導入されます。

 

医療費控除(従来の医療費控除)

 自分や生計を一にする家族のために支払った医療費(注1)の合計額がその者の所得金額の合計額の5%相当額(最高10万円)を超えるときは、その超える部分の金額(最高200万円)が、医療費控除として所得金額から差し引かれます。この控除を受けるためには、医療費控除に関する事項を記載した申告書を提出する必要があります。その際、「医療費控除の明細書」等を添付する必要があります。

 

(注1)

 支払った医療費とは、その年中に実際に支払った医療費をいい、未払となっている医療費は、実際に支払った年の控除対象になります。また、保険金などで補てんされる金額は除きます。保険金などで補てんされる金額とは、生命保険契約などの医療保険金、入院給付や社会保険などから支給を受ける療養費、出産育児一時金などです。

 

控除の対象となる医療費

 病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額が対象となります。

 

控除対象外(例示)

(1) 容姿を美化し、容ぼうを変えるなどの目的で行った整形手術の費用

(2) 健康診断の費用(診断の結果、重大な疾病が発見された場合で、治療が開始されたときは対象)

(3) タクシー代(病状からみて急を要する場合等を除く)や、自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車料金

(4) 一般的な近視や遠視の矯正のため眼鏡等の購入費

(5) 親族に支払う療養上の世話の対価

(6) 予防接種など疾病の予防または健康増進のために供されるものの購入の費用

 

 

医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)

(セルフメディケーションとは)

 自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすることをいいます。

 

(セルフメディケーション税制とは)

 医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)は、健康の維持増進および疾病の予防への取組として一定の取組(注2)を行う個人が、平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、自分や生計を一にする家族のために支払った特定一般用医薬品等購入費(注3)の合計額が1万2千円を超えるときは、その超える部分の金額(最高8万8千円)が、医療費控除として所得金額から差し引かれます。この控除を受けるためには、セルフメディケーション税制に関する事項を記載した申告書を提出する必要があります。その際、「医薬品購入費の明細書」等を添付および一定の取組を行ったことを明らかにする書類を添付または提示する必要があります。

 なお、セルフメディケーション税制の適用を受けることを選択した方は、従来の医療費控除を受けることはできません。

 

(注2)

 一定の取組とは、特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診査およびがん検診などです。

 

(注3)

 セルフメディケーション税制の対象となる特定一般用医薬品等購入費とは、一般用医薬品等(新医薬品に該当するものおよび人の人体に直接使用されることのないものを除く)のうち、医療保険各法等の規定により療養の給付として支給される薬剤との代替性が高いものとして厚生労働大臣が財務大臣と協議して定めるもの(いわゆるスイッチOTC薬)の購入費の対価をいいます。なお、スイッチOTC薬の具体的な品目一覧は、厚生労働省ホームページをご覧ください(一部の対象医薬品には、その医薬品のパッケージに対象である旨を示す識別マークが掲載されています。)。

 

 

医療費控除に係る附属書類の見直し

 平成29年度の所得税法の改正により、申告書の提出の際に、医療費の領収書または医薬品購入費の領収書(以下「医療費の領収書等」という)の添付または提示に代えて、「医療費の明細書」等を添付することになりました。

また、医療費の領収書等は自宅で5年間保存し、税務署長等から求められたときは、提示または提出しなければならないこととされました。

 

 

「医療費控除の明細書」様式変更について

 平成29年分所得税(住民税は平成30年度)から「医療費控除の明細書」の様式が変更になります。なお、「医療費控除の明細書」には、従来の医療費控除用と、セルフメディケーション税制用がありますので、ご注意ください。また、新しい明細書では、医療保険者等が発行した医療費通知書(健康保険組合等が発行する「医療費のお知らせ」など)を添付すると、明細の記入が省略できます。