【事例1】

 近所の家で工事をしているという業者が、挨拶だと言って訪れた。その際、無料で床下を点検してくれるというので見てもらうと、カビの除去を勧められた。消毒作業代の6万円を支払い、作業が終了すると、「基礎の一部が割れていたのですぐに修理したほうがよい」と270万円の修理工事を勧められた。高額なので断ったが「180万円まで値引きする」などと長時間にわたって勧誘を受け、断り切れず契約してしまった。

【事例2】

 見知らぬ業者が突然訪れ「お宅の屋根が壊れているのが見えた。点検させてほしい」と言った。私は高齢者で、自分では屋根を確認できないため了承した。業者は屋根に上り写真を撮って降りてくると、私に写真を見せながら「コーキングがはがれていて、壊れている箇所もある」と言った。当家を建てた建築業者は既に廃業していて、どの事業者に修理を依頼したらよいか分からず不安になった。業者に勧められるまま300万円で修理工事の契約を結ぼうとしたところ、その場に居合わせた息子に止められた。

 

 住宅の屋根や床下は見えにくいため状況が把握しづらく、また、専門知識が必要なため、建築後年数が経って業者から指摘をされると不安な気持ちになりがちです。修理の必要性や金額の根拠が明確でないまま高額な工事契約を結んでしまい、トラブルが発生しています。

 訪問販売による契約では、法定書面を受け取ってから8日以内であればクーリング・オフを通知することにより負担なく契約を解除できます。また、特に高齢者が狙われやすいので、家族や周囲の人の見守りや気づきでトラブルを未然に防ぐことも大切です。

 

【消費者へのアドバイス】

  1. 業者から契約を迫られても即断せず、家族や周囲の人などに相談しましょう。
  2. 高額な契約をするときは、同業他社から相見積もりを取り、比較検討しましょう。わからないことがある場合は、遠慮せず質問しましょう。
  3. 工事の見積書や契約書は必ず作成してもらい、受け取りましょう。
  4. クーリング・オフ以外にも、勧誘方法や契約内容に問題があれば契約を取り消しできる場合があります。

 

困った時には、お近くの消費生活センター等にご相談ください。

消費生活センターへのお電話は、消費者ホットライン「188」へお掛けください。

(くらしの110番 2022年11月)