○上里町環境基本条例
平成12年9月13日条例第26号
上里町環境基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 基本的施策(第8条―第16条)
附則
私たちのまち上里町は、埼玉県の最北端に位置し、町の半周を烏川・神流川に囲まれ豊かな自然に恵まれています。
古代の人々の生活は、遺跡から出土している数々のものから推測すると、古くからこの地において暮らしが営まれ、自然豊かな生活を送っていたことがうかがい知ることができます。
町内に点在する雑木林などの自然と共に歩む暮らしは、私たちの心にふるさとの風景を深く刻んでいます。
今日まで、地域に密着した伝統芸能や、歴史・文化も育まれ、自然・歴史・文化の調和がとれた町として着実に発展を続けています。
しかしながら、急激な人口増加や都市化の波により、豊かな自然が徐々に失われ、環境への負荷を生じさせる社会経済活動や、生活様式の変化に伴う、都市生活型公害や廃棄物問題なども深刻化しています。
もとより、私たちは、安全で健康かつ文化的な生活を営む上で必要とされる良好な環境を享受する権利を有するとともに、人と自然が共存する中で、環境への負荷の少ない持続的に発展できる循環型社会の構築を目指し、その環境を将来の世代に引き継ぐべき責務を有しています。
私たちは、自らが環境に負荷を与えている立場にあることを自覚し、自らの社会生活や経済活動を見直すとともに、環境は全ての生命を育む母胎であり、大気、水、土壌及び様々な生物の微妙な均衡と循環の下に成り立っていることを認識しなければならない。
私たちは、「豊かで活力のある生活文化都市」を将来像とし、健康で恵み豊かな環境を保全し、創造するために、たゆまない努力と英知を結集し、現在及び将来の町民の安全で健康かつ文化的な生活を目指し、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、環境の保全及び創造に関し基本理念を定め、並びに町、町民、事業者及び滞在者の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、施策を総合的かつ計画的に推進し、もって町民の安全で健康かつ文化的な生活を実現するために必要な環境を確保し、現在及び将来の町民の福祉に貢献することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上支障の原因となるおそれのあるものをいう。
2 この条例において、「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)、及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに動植物を含むものをいう。)に係る被害が生ずることをいう。
3 この条例において、「循環型社会」とは、自然の物質循環を損なうことなく持続的に発展することができる社会をいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全及び創造は、現在及び将来の町民が健全で恵み豊かな環境を享受するとともに、安全で健康かつ文化的な生活を将来にわたって維持されるように適切に推進されなければならない。
2 環境の保全及び創造は、人と自然が共存する中で、環境への負荷の少ない持続的に発展できる社会が構築されるよう、町、町民、事業者及び滞在者の公平な役割分担のもと、協力して積極的に推進されなければならない。
3 環境の保全及び創造は、地域の環境が地球全体の環境と深く関わっていることにかんがみ、全ての事業活動及び日常生活において自主的かつ積極的に推進されなければならない。
(町の責務)
第4条 町は、前条に定める基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に関し、町域の自然的社会的条件に応じた総合的かつ計画的な施策を策定及び実施する責務を有する。
2 町は、自らの施策を実施するに当たっては、環境への負荷の低減その他環境の保全及び創造に努めなければならない。
(町民等の責務)
第5条 町民は、その日常生活に伴う環境への負荷を低減するとともに、自然環境の適正な保全に努めなければならない。
2 町民及び、土地、建物その他の物件を所有し、占有し又は管理する者は、環境の保全に自ら努めるとともに、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。
2 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、環境の保全上の支障を防止するため次に掲げる事項に努めなければならない。
(1) 事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合に、その適正な処理が図られることとなるように必要な措置を講ずること。
(2) 事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資すること。
(3) 再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用すること。
3 前2項に定めるもののほか事業者は、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減、その他環境の保全に自ら努めるとともに、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する義務を有する。
(滞在者の責務)
第7条 旅行者その他の滞在者は、環境の保全に自ら努めるとともに、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。
第2章 基本的施策
(町の基本的施策)
第8条 町は、環境の保全及び創造を図るため、次に掲げる施策を推進するものとする。
(1) 大気、緑地、河川、地下水、土壌等の自然的構成要素の保全に関すること。
(2) 野生生物の種の保存、生態系の保護等生物の多様性の確保を図るとともに、森林農地、水辺地等における多様な自然環境の保全に関すること。
(3) 町民が安全で健康に暮らせる潤いと安らぎのあるまちの創造、地域特性を活かした良好な景観及び歴史・文化遺産の保全に関すること。
(4) 資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量等に関すること、並びに地球環境保全の貢献に関すること。
(5) 町民及び事業者が環境の保全及び創造に自主的かつ積極的に取り組めるよう、系統的な環境学習の推進に関すること。
(環境基本計画)
第9条 町長は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため上里町環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めるよう努める。
2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 環境の保全及び創造に関する目標
(2) 施策の基本方針
(3) 前2号に掲げるもののほか、施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 町長は、環境基本計画を策定するに当たっては、町民の意見が反映されるよう必要な措置を講ずるとともに、上里町環境審議会の意見を聴かなければならない。
4 町長は、環境基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表するものとする。
5 前2項の規定は、環境基本計画の変更についても準用する。
(規制、助成等の措置)
第10条 町は、環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるものとする。
2 町は、環境の保全について、特に必要があると認めるときは、適正な助成その他の措置を講ずるよう努めるものとする。
(監視、測定等態勢の整備)
第11条 町は、環境の状況を把握し、環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するために必要な監視、測定等に関する態勢の整備に努めるものとする。
(環境教育及び環境学習の推進)
第12条 町は、町民及び事業者が環境保全及び創造についての理解を深めるとともに、これらの者の環境の保全及び創造に関する教育及び学習の推進に努めるものとする。
(情報の収集及び提供)
第13条 町は、環境の状況その他の環境の保全及び創造に関する情報の収集に努めるとともに、その情報を適切に提供するものとする。
(町民及び事業者の自主的な活動の促進)
第14条 町は、町民及び事業者が自主的に行う環境の保全に関する活動が促進されるように、情報の提供等の必要な措置を講ずるものとする。
(町民及び事業者との連携)
第15条 町は、環境の保全及び創造に関する施策を効果的に推進するため、協力及び参画を求める等町民及び事業者との連携に努めるものとする。
(国、埼玉県等との協力)
第16条 町は、環境の保全及び創造を図るために広域的な取り組みを必要とする施策について、国及び埼玉県その他の地方公共団体と協力して、その推進に努めるものとする。
附 則
(施行期日)
この条例は、平成12年10月1日から施行する。
附 則(平成13年3月12日条例第8号)
この条例は、平成13年4月1日から施行する。