○上里町議会基本条例
令和3年6月15日条例第16号
上里町議会基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条)
第2章 議会及び議員の活動原則と政治倫理(第2条―第5条)
第3章 町民と議会との関係(第6条―第9条)
第4章 議会と町長等との関係(第10条―第13条)
第5章 議員相互の討議(第14条・第15条)
第6章 適正な議会機能(第16条―第23条)
第7章 会議の運営(第24条)
第8章 議員定数・報酬等(第25条・第26条)
第9章 最高規範性及び見直し手続(第27条・第28条)
附則
地方議会は、二元代表制のもとで、行政機関の監視、調査、政策形成及び提案機能を十分発揮しながら、日本国憲法に定める地方自治の本旨の実現を目指している。
上里町議会は、町民によって選ばれた議員で構成し、町長、教育委員会、その他執行機関と対等な関係を保ち、町の最高意思決定機関であることを認識し、町民全体の福祉向上と豊かなまちづくりの進展のために活動する。また、議会は合議制の議事機関であり、町民への積極的な情報の公開、共有と説明責任の遂行により、町民の意思を的確に把握し、自由かっ達な討議を通じて最も有益な結論に導いていく責務がある。議員は研鑽を積み、町民参加を基本としたまちづくりを推進し、議会の公正性・透明性を確保するとともに、高い政治倫理に基づき、議員の責務及び活動原則、情報提供など町民に開かれた議会運営の基本事項を定め、「分りやすい、開かれた議会」を目指し、町民の信託に全力で応えていくことを決意し、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、上里町議会(以下「議会」という。)が果たすべき自主的かつ自律的な運営を実現するための基本的な事項を定め、議会の役割を明確にするとともに、議会の活性化を図り、町政の情報公開と町民参加を基本にし、町民全体の福祉向上と豊かなまちづくりの実現に寄与することを目的とする。
第2章 議会及び議員の活動原則と政治倫理
(議会の活動原則)
第2条 議会は、町民主権を基礎とする町民の代表機関であることを常に自覚し、公正性、透明性、信頼性を重んじ、全ての会議を原則公開するとともに、民主的かつ効率的な議会運営のもとに次の活動を行う。
(1) 議会は、議事機関として、町政の重要事項について意思決定を行う。
(2) 議会は、町民の意思が的確に反映され、公正で民主的に町政が運営されているかを監視・けん制し、評価する。
(3) 議会は、町民の多様な意見を基に、調査活動や積極的な議論を通じて政策提言を行うことにより、政策立案の強化に努める。
(4) 議会は、議決責任を深く認識するとともに、町民に開かれた議会を目指すため、議会改革を継続的に推進し、議会での申合せ事項は不断に見直しを行う。
(5) 議会は、民主的かつ効率的な議会運営を行い、その機能を発揮し、円滑かつ効果的な運営を行い、合議制の機関としての役割を果たす。
(委員会及び委員長の活動原則)
(1) 審査及び調査に当たっては、資料等を公開し町民に分かりやすい議論を行う。
(2) 委員会は、政策立案及び政策提案を積極的に行う。
(3) 町民に対し審査の経過及び所管する行政課題等に対処することを目的に、必要に応じて参考人制度及び公聴会制度を活用し、適切な判断を行う。
(4) 委員長は、副委員長と協議のうえ、委員会の秩序保持に務め、効率的な議事の整理を行い委員会の事務をつかさどる。
(5) 委員長は、討議による合意形成に努め、委員長報告を作成し、報告に当たっては、論点、争点等を明確にする。
(議長及び議員の活動原則)
第4条 上里町議会議長(以下「議長」という。)及び上里町議会議員(以下「議員」という。)は、次に掲げる原則に基づき活動する。
(1) 議長は、議会を代表し、公正で民主的かつ公平な立場において職務を行い、効率的な議会運営を行う。
(2) 議員は、議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識し、議員相互間の討議を重んじて活動する。
(3) 議員は、町政の課題全般について、町民の意見を的確に把握するとともに、自己の能力を高める不断の研鑽によって、町民の代表としてふさわしい活動をする。
(4) 議員は、議会の構成員として公正かつ誠実に職務を遂行し、一部の代表にとどまらず町民全体の福祉の向上及び豊かな町づくりの推進を目指して活動する。
(5) 議員は、政策形成及び立案能力等の向上を図るため、研修会及び研究会に積極的に参加する。
(議員の政治倫理)
第5条 議員は、町民全体の代表者として、その倫理性を常に自覚し、自己の地位に基づく影響力を不正に行使し、町民の疑惑を招くことのないよう行動する。
第3章 町民と議会との関係
(町民参加及び町民との連携)
第6条 議会は、議会の活動に関する情報公開を徹底するとともに、説明責任を十分に果たす。
2 議会は、本会議及び委員会並びに全員協議会(以下「議会の諸会議」という。)の日程及び内容を事前に周知し、町民が議会活動に参加する機会を確保するよう努める。
3 議会は、本会議及び委員会の運営に当たり、参考人制度や公聴会制度を十分に活用し、町民の意向及び学識経験者等の専門的かつ政策的識見等を議会の意思決定に反映する。
4 議会は、請願及び陳情を町民による政策提案と位置付け、審査においては、提案者の意見を聴く機会を確保する。
5 議会は、議会報告会や意見交換会を毎年開催し、広く町民の意見を聴取する機会を確保し、議会及び議員による政策提案を高める。
(議会広報の充実)
第7条 議会は、町政に係る論点や争点を、多様な広報手段を活用し、町民に周知する。
2 議会は、重要な議案に対する各議員の態度を議会広報で公表する。
(議会傍聴の充実)
(議会の自己評価)
第9条 議会は、町民に対し、議会及び議員の活動内容を公表し、情報を共有することにより、議会活動の活性化を図る。
2 議会は、議会の活性化を常に認識し、議会の基礎的な資料・情報、議会の評価等を1年ごとに作成し公表する。
第4章 議会と町長等との関係
(議会と町長等の関係)
第10条 議会審議における議員と町長等執行機関及びその職員(以下「町長等」という。)は、それぞれの機関の特性を活かすとともに、次に掲げるところにより、政策をめぐる論点、争点を明確にし、緊張関係を保持し、町政の発展に努める。
(1) 議員と町長等との質疑応答は、広く町政上の論点、争点を明確にするため、一問一答方式で行う。
(2) 議員は、一般質問等に当たっては、単に町長等への質問に終始することなく、討議による政策論争を展開する。
(3) 議員は、二元代表民主制の充実と町民自治の観点から、法令及び条例等で定めるものを除く執行機関の諮問機関、審議会等の委員に就任しないものとする。
(4) 議会は、公文書の提出及び情報の提供を積極的に行うよう町長等に求める。町長は、議会の審議に付すに当たっては、分かりやすい政策説明資料を作成するよう努めるものとする。
(5) 議長から議会の諸会議への出席を要請された町長等は、議員の質疑及び質問に対して、議長及び委員長の許可を得て、論点の整理又は質問の主旨を明確にするため、反問することができる。
(政策形成過程等)
第11条 議会は、町長等が提案する重要な政策等の意思決定においては、その水準を高めるため、次に掲げる政策形成過程を論点として審議する。
(1) 政策等の提案に至るまでの背景及び経緯
(2) 他の自治体の類似する政策等との比較検討
(3) 町民参加の実施の有無及びその内容
(4) 総合計画における根拠又は位置付け
(5) 関係ある法令及び条例等
(6) 政策等の実施に要する経費と財源
(7) 将来にわたる効果及び政策等の維持管理を含めた財源
2 議会は、前項の政策等の提案を審議するに当たっては、政策等の適否を判断する観点から、前項の規定に準じて政策説明資料を作成するよう求め、執行後を想定した審議を行う。
(評価の実施)
第12条 議会は、決算審査において、町長等が執行した政策等の評価を行う。
2 議会は、予算に十分反映させるため、議会の評価結果を町長等に明確に示す。
(議決事項の拡大)
第13条 議会は、議決責任という役割を果たす観点に立ち、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第96条第2項の議決事件について、次のとおり定める。
(1) 町が総合的かつ計画的な行政運営を図るための基本構想に基づく、上里町総合計画の策定及び変更又は廃止に関すること。
(2) 都市計画に関する基本的な方針の策定及び変更又は廃止に関すること。
(3) その他町政の各分野における政策及び施策の基本的な方向性を定める長期にわたる計画又は指針の策定又は変更に関すること。
第5章 議員相互の討議
(自由討議による合意形成)
第14条 議会は言論の府であることから、議員相互の討議を中心に運営する。
2 前項の規定に基づき、議会の諸会議への町長等に対する出席要請は、必要最小限にとどめ、議員間で活発な討議を行う。
3 議会は、本会議及び委員会において、議員提出議案、町長提出議案及び請願並びに陳情等を審議し結論を出す場合、議員相互の自由討議により議論を尽くして合意形成に努めるとともに、町民に対する説明責任を十分に果たす。
4 議員は、議員相互間の自由討議を拡大するため、政策、条例、意見等の議案の提出を積極的に行うよう努め、議員相互の討議により議論を尽くして合意形成を行う。
(議員政策討論会の開催)
第15条 議会は、町政に関する重要な政策及び課題等について、議会としての共通認識を深めるとともに、政策形成能力の向上を図るため、議員政策討論会を開催する。
2 議員政策討論会について必要な事項は、議長が定める。
第6章 適正な議会機能
(適正な議会費の確立)
第16条 議会は、議会費について、一定の標準率などを用いて適正な議会活動費の確立を目指す。
2 議会は、議事機関としての機能を確保するために必要となる議会費予算の確保に努めるとともに、議長交際費を含めて、議会費の使途等を町民に公表する。
(議長、副議長志願者の所信表明)
第17条 議会は、議長及び副議長の議会活動の方向性を明確にし、議会の透明性を高めるため、それぞれの職を志願する者に所信を表明する機会を設ける。
(附属機関の設置)
第18条 議会は、議会活動に関し、審査、諮問又は調査のため必要があると認めるときは、別に条例で定めるところにより、学識経験を有する者等で構成する附属機関を設置する。
2 附属機関に関して必要な事項は、別に規則で定める。
(調査機関の設置)
第19条 議会は、町政の課題に関する調査のために必要があると認めるときは、法第100条の2の規定により、学識経験を有する者等で構成する調査機関を設置する。
2 議会は、必要があると認めるときは、前項の調査機関に議員を構成員として加える。
3 調査機関に関し必要な事項は、別に規則で定める。
(議会事務局の体制整備)
第20条 議会は、法第138条第2項の規定に基づき、上里町議会事務局を置く。
2 議会は、議会及び議員の政策立案能力を向上させ、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の機能の強化及び組織体制の整備を図る。
3 議長は、議会事務局職員の任免権を行使するものとして、議会事務局の充実強化に努める。
(議会図書室の充実)
第21条 議会は、議会図書室を適正に管理し、議員の調査研究に資するため、議会図書室の充実につとめ、その機能を強化する。
(議会改革及び活性化の推進)
第22条 議会は、町民の信頼を高めるため、不断の改革及び活性化に努める。
2 議会は、他の自治体議会のあり方についての調査、研究等を行う。
3 議会は、議会制度に係る法改正等があったとき、又は議会改革の推進の観点から必要があると認めるときは、速やかに調査、研究等を行う。
(災害時の対応)
第23条 議会は、町民の生命又は生活に直接影響を及ぼす災害等の不測の事態が発生した場合は、緊急時における総合的かつ機能的な活動が図れるよう、町長等と協力し、議会の危機管理体制を整える。
2 議会及び議員は、町民及び地域の状況、意見及び要望を的確に把握するとともに、必要に応じ町長等に対し必要な要請を行う。
第7章 会議の運営
(議会運営の原則)
第24条 議会は、民主的かつ効率的な議会運営を行う。
2 議会は、会議を定刻に開催し、休憩する場合には、その理由と再開時刻を傍聴者に説明する。
第8章 議員定数・報酬等
(議員定数)
2 議員の定数は、法令及びこの条例で定める活動の推進と、議会の備えるべき監視機能、調査機能及び政策形成機能の確保の観点を踏まえて定める。
3 議員定数の改正に当たっては、民主主義の原理を踏まえ、附属機関、参考人制度及び公聴会制度を活用し、法第74条第1項の規定による町民の直接請求があった場合を除き、改正理由の説明を付して、議員が提案するものとする。
(報酬等)
第26条 議員の報酬及び費用弁償並びに期末手当(以下「報酬等」という。)は、別に条例で定める。
2 議員の報酬等は、議会議員としての活動範囲及び調査審議事項の複雑多様化のほか、町の財政状況、社会経済情勢、他の地方公共団体の状況等を踏まえて、これを定める。
3 議員の報酬等の改正に当たっては、民主主義の原理を踏まえ、附属機関、参考人制度及び公聴会制度を活用し、法第74条第1項の規定による町民の直接請求があった場合を除き、改正理由の説明を付して、議員が提案するものとする。
第9章 最高規範性及び見直し手続
(最高規範性)
第27条 この条例は、議会の最高規範であり、この条例に違反する条例、規則、規程等を制定しない。
2 議会及び議員は、この条例を遵守する。
3 議会は、議会に関する憲法、法律、その他法令等の条項を解釈し、運用する場合においても、この条例に定める理念、原則に照らして判断する。
4 議会は、議員にこの条例の理念を浸透させるため、一般選挙を経た任期開始後、速やかにこの条例の研修を行う。
(検証及び見直し手続)
第28条 議会は、1年ごとに、この条例の目的が達成されているかどうかを、議会運営委員会において検証する。
2 議会は、前項による検証の結果、制度の改善が必要な場合は、全ての議員の合意形成に努めたうえで、条例の改正を含めて適切な措置を講ずる。
3 議会は、この条例を改正する際には、改正の理由を町民に説明するものとする。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、令和3年9月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際、現に第10条第3号に規定する委員に就任している者については、その任期が終了するまでの間、同号の規定は適用しない。
附 則(令和5年3月23日条例第6号)
この条例は、公布の日から施行する。