退職所得に係る個人住民税(町民税・県民税)については、所得税と同様に、他の所得と区別して退職手当等の支払われる際に支払者が税額を計算し、退職手当等の支払金額からその税額を差し引き、市町村に納入することとされています。この退職所得に係る個人住民税を「分離課税に係る所得割」といいます。

課税する納税義務者と市町村

(1) その年の1月1日現在の住所地の市町村が課税

 分離課税に係る所得割の納税義務者は、退職手当等の支払いを受ける人です。
 また、分離課税に係る所得割を課税するのは、退職手当等の支払いを受ける人のその退職手当等の支払いを受けるべき日(通常は退職した日)の属する年の1月1日現在における住所地の市町村および道府県(道府県民税については、市町村民税とあわせて市町村が賦課徴収することとなっています。)です。

(2) 退職所得に対する住民税が課税されない人

 次に掲げる人には、分離課税に係る所得割は課税されません。なお、死亡により支払われる退職手当等に対しては、相続税の課税対象となるため、住民税は課税されません。

  1. 退職手当等の支払いを受けるべき日の属する年の1月1日現在において生活保護法による生活扶助を受けている人
  2. 退職手当等の支払いを受けるべき日の属する年の1月1日現在において国内に住所を有しない人(例えば、ある年の4月に国外の支店等から帰国した人がその年中に退職手当等の支払いを受けても、分離課税に係る所得割は課税されません。この場合には、翌年度において、他の所得と同様に、所得割が課税されます。)
  3. 退職手当等の収入金額が退職所得控除額より少ない人

退職手当等の支払いを受ける人の申告

 退職手当等の支払いを受ける人は、その支払いを受ける時までに、「退職所得申告書」(所得税の「退職所得の受給に関する申告書」と同一用紙になっています。)をその支払者を経由して、課税市町村の市町村長に提出しなければならないことになっていますが、この申告書は、退職手当等の支払者が受理した時に市町村長に提出したものとみなされるので、支払者の手元に保管していただくことになっています(保管期間は、この申告書の提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年を経過するまでです。)。ただし、保管期間の間に、市町村長が支払者に対し提出を求めた場合は、支払者は申告書を市町村長へ提出する必要があります。

特別徴収票

 「特別徴収票」(所得税の退職所得の源泉徴収票に相当し、源泉徴収票と複写になっています。) は、退職手当等の支払者が、各受給者について支払いの確定した退職手当等の金額や特別徴収税額等を記載して2部作成し、 退職後1月以内に1部を関係市町村長に提出し、他の1部を受給者に交付しなければなりません。
 ただし、次のとおり、特別徴収票の交付または提出が省略できる場合があります。

  1. 法人(人格のない社団又は財団も含まれます。)の取締役、監査役、理事、監事、清算人、その他の役員(相談役または顧問等も含みます。)以外の受給者(この範囲は、所得税の場合と同様です。)の特別徴収票については、市町村長への提出は不要です。
  2. 分離課税に係る所得割が課税されないときは、受給者への交付および市町村長への提出は不要です。ただし、受給者から交付の請求があった場合には、これに応じなければなりません。

計算方法

 退職金には、所得税と個人住民税がかかりますが、長年の勤労の対価と老後の安定という意味合いから、他の所得とは分離して税負担が軽くなるように配慮されています。また、通常、個人住民税は前年の所得に対して課税されますが、退職所得では「現年分離課税」といい、所得税と同様に退職金の支払いを受けるときに税額が特別徴収されます。

(退職所得の求め方)

 退職所得の金額は、次の算式によって計算します(退職所得の金額に1,000円未満の端数がある場合は、端数を切り捨てます。)。

(1) 一般の退職手当等
 (退職手当等の金額 - 退職所得控除額) × 2分の1

(2) 特定役員退職手当等
 退職手当等の金額 - 退職所得控除額

※「特定役員退職手当等」とは、退職手当等のうち、役員等としての勤続年数が5 年以下である者が支払いを受けるものをいう(所得税第30条第4項)。

※「役員等」とは、法人税法第2条第15号に規定する役員、国会議員・地方議会議員、国家公務員・地方公務員をいう。


(退職所得控除額の計算)

退職所得控除額は、退職した人の勤続年数に応じて決まります。

勤続年数(1年未満の端数切り上げ) 退職所得控除額
20年以下の場合 40万円×勤続年数
(80万円に満たないときは80万円)
20年を超える場合 800万円+70万円×(勤続年数-20年)

※勤続年数に1年未満の端数があるときは、1年として計算します。

※障害者となったことにより退職したと認められる場合は、上記により計算した金額に100万円が加算されます。


(税額の求め方)

退職所得の金額×税率10%(町民税6%+県民税4%)

納入について

 納入先は、退職者が退職手当等の支払いを受けるべき日(通常は退職した日)の属する年の1月1日現在における住所の所在する市町村です(所得税の納付先(事務所等の所在地管轄税務署)とは異なりますので、注意してください。)。
 上里町分につきましては、上里町の『納入書』を使用し、「退職所得分」欄および裏面の「納入申告書」に所要事項を記入し、特別徴収した月の翌月10日までに納入してください(『納入書』をお持ちでない場合は『納入書』を送付しますので、税務課住民税係までご連絡ください。)。