今年8月中旬、旧国鉄時代(現JR)の友人(N氏)からメールが来ました。N氏いわく「山下から聞いていた案件で、明日から、インドネシア高速鉄道計画の仕事で半年間、インドネシアに行ってくる」とのこと。
 その案件とは、7、8年前、開発途上国への国際協力を行っている国際協力機構(JICA)の関係者から、「インドネシアで首都ジャカルタとバンドン間の150kmを結ぶ高速鉄道を建設する計画があり、中国との受注競争に勝たなければならない。この高速鉄道計画へ参加・協力してほしい」と、強い依頼があったものでした。しかし、私は生まれ育った上里町への感謝の思いと、人生の後半は町の発展に貢献したいという思いを優先して、このインドネシア高速鉄道計画への参加をお断りしました。
 2012年に発足した第二次安倍政権は、海外インフラの開発を優先課題と取り上げ、中でも日本技術の粋ともいえる新幹線技術の輸出には格段の力を入れていました。しかし、昨今、日本の鉄道輸出事業が中国との競争に敗れている現状を見ると、大変複雑な思いがします。
 そんな中、私に代わって「80歳になるから」という家族の反対を押し切ってまでも国を背負い、遠い異国で職務に注力しているN氏に対し、敬意を表し、感謝を申し上げます。
 当時は私自身、国際貢献への協力か、地元上里町のまちづくりの思いを優先するか、心が揺れた時期でありました。時は流れ、町民の皆さんと思いをひとつにして、「笑顔あふれる町にしたい」、「生まれ育った町・育てていただいた町をいつまでも元気にしたい」、そんな思いで町政に邁進している今日この頃です。
 友人・N氏の帰国後、できるだけ早い機会に再会しようと約束をしました