初めに、成人式の式辞で述べさせていただいたことを一部掲載させていただきます。
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 パナソニックの創業者であります松下幸之助は、「ただの石をいくら磨いてもダイヤモンドにはならない。しかし、ダイヤモンドの原石は、磨くことによって光を放つ。しかもそれは磨き方いかん、カットの仕方いかんでさまざまに異なる燦然(さんぜん)とした輝きを放つのである。人間というものはそれぞれに磨けば光る、さまざまな素晴らしい素質を持ったダイヤモンドの原石のごときものだと思う」と述べています。今、成人となった皆さんの前に立ち、「上里町の誇る原石がここにある」という思いを新たに致しております。原石は自然に磨かれるものではありません。皆さん方もそれぞれが異なる原石です。自分自身を高めることから始め、教えあい、競いあい、励ましあい、支えあい、文字どおり切磋琢磨してそれぞれの持ち味を存分に生かし、上里ならではの風格のあるダイヤモンドとなっていただくよう心からお願い致します。
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 さて、式典終了後、新成人の皆さんを見送るため出口で挨拶をしていると、一人の晴れ着姿の新成人から「私を覚えていますか」と声をかけられました。「町長が毎朝駅前で挨拶されているとき高校生だったんです」彼女は、私が駅頭に立っていたときに、いつも挨拶を返してくれた女子高生でした。私は、ダイヤモンドのような宝石の輝きを感じました。思いがけない再会となりました。
 新成人の皆さんが思いやる心を養い、心豊かな社会人になっていただくことを期待するとともに、それぞれの輝きを放つ人間に成長されることを心から願っております。