埼玉県内のウナギどころと言うと「浦和」「川越」ですが、新たに県北の「上里」が加わるかもしれません。ウナギは、貴重なたんぱく源であり、栄養価も高く、日本の伝統的な食文化です。
 そんなウナギを通して地域に貢献したいと、「平沼水産(株)」(さいたま市)が町内にウナギの陸上養殖場を建設予定のお話を聞き、それに先駆け、町と平沼水産(株)は、5月12日㈮に包括連携協定を結びました。
 ウナギは、奈良時代の「万葉集」にも登場し、日本では千年以上前から食されてきました。ウナギの頭「半助」を食べる習慣は、食材を無駄にしない精神の象徴ともされており、食材として捨てるところがありません。フードロスの削減は、SDGs(持続可能な開発目標)でも取り上げられており、ウナギをかみさとの食文化として育て、学校給食の食材として提供するなど、いずれは、「町民の健康食」になってもらえればと思っています。
 私は、町長就任当初から、「食」の特産品や地域ブランドが創出できないかを模索してまいりました。「水質が良い神流川の清流を活用できないか」と考え、以前から関心があった「ウナギ」の陸上養殖システム技術に着目してきました。この間、ウナギ養殖事業を手掛ける企業があらわれないかと、何社か働きかけをしてきたところ、今回、ベンチャー企業である同社が手を挙げてくれました。上里町に約4300平方メートルの敷地を購入し、現在は令和6年1月からの養殖事業開始にむけ準備を進めています。同社は、一度に9万匹を育てられる設備を年内に完成させ、来年早々稚魚を放流して、夏の出荷を目指しています。
 なお、既に上里産のかんな清流米を使った商品が考案され、上里サービスエリア(下り線)で試験販売が開始されています。今後の展開として、ウナギ職人の養成や水耕栽培による野菜づくり、食育等も検討しているとのことです。地域経済活性化にもつながる「夢」について語る平沼社長に期待したいと思います。