盆踊りなどで町民に親しまれている「上里音頭」。この曲の作詞者であり、バレーボール連盟会長等でもご活躍された佐藤公彬氏が、去る8月2日に亡くなられました。ご冥福をお祈り申し上げますとともに、佐藤氏のご功績に触れてみたいと思います。
 佐藤氏は生前、私が町長就任のご挨拶に伺った際に、「この上里音頭を地元の子供たちに長く伝承してほしい」と言われました。この曲は歌手の三橋美智也氏が歌ったことで知られています。歌詞にちなんだ振り付けは、地域の文化を広げ、踊ることで心も身体も健康になり、郷土愛を育むことに繋がると思います。
 佐藤氏の話では、昭和52年に町の一般公募に応募し、多数の作品から選ばれたそうです。美しく豊かな四季の情景を1番から4番にまとめ、そこに町が誇る農産物等を重ねて作詞されました。根底にあるテーマは、青年会との交流で感じとった、町の未来を担う若者の活力と、希望に満ちた姿や青春をイメージして、後世に残していきたいという願いです。町を大切に思う人と人とのふれあいや絆が、若者たちの夢や希望と一緒にこの詩へ託されました。
 「上里音頭」は、町の歌であり、町民の皆さんの歌と踊りです。踊りの輪は、たとえ小さくても、やがて大きな輪となります。皆さんの心がひとつの大きな輪になって、豊かで住み良い町になってほしいものです。佐藤氏は、明日と言う未来が、夢と希望に満ちた町に発展していくことを祈りました。東京大空襲を経て当地に移り住み、北関東の美しい景観が、平和の楽園に見えたそうです。この曲こそが町の未来を創造して行く大切な歌と踊りであり、永遠に平和を願う心からの、大切な賛歌であるとも述べています。
 先日のイオン夕涼み会では、上里町民踊連盟やSALAの皆さんを中心に、「上里音頭」が最後まで輪になって踊られました。人々の交流の輪を広げるためにも、この曲を生かして、コロナで途絶えてしまった各地域での盆踊りの復活を心から期待します。